施されたら、施し返す、恩返しです。
7年ぶりの続編が昨日スタートしたTVドラマ「半沢直樹」
前作も楽しく拝見させてもらいましたが、今回の続編もとても心待ちにしていました。
「半沢直樹」といえば「やられたら、やり返す、倍返しだ!」という決め台詞が有名ですが、今回は何とその台詞とは対極に位置する「施されたら、施し返す、恩返しです。」という台詞が、とある登場人物より飛び出します。
「倍返しだ!」は昨日の第一話のラスト近くで出てきますが、その前の「恩返しです。」のインパクトが自分の中では強過ぎて… しばらく頭の中に残っていました。
最初聞いた時はギャグなのか?と思ったり…
私自身、「やられたら、やり返す」と思ったことは過去の子供時代の頃を含めて、そうそうありませんでしたが、まず最初に思い出すのは15年間の会社員時代の新入社員としての一年目の時です。
当時勤めていた建設会社で請け負っていた現場で、協力会社(いわゆる下請け業者)の職長であるY田組のA木さんと測量をしていた時でした。
レベルという測量機械で高さを出し、トランシットという測量機械で角度を出したりして、丁張りという木材の杭と板を使った土木構造物などを施工する基準となる仮設工作物を設置する作業をA木さんとしていたのですが、とにっかくこのA木さんという人がウルトラスーパー究極に気の短い方で、現場でもしょっちゅう怒鳴られていました。
ホント泣きたくなるほどに…
現場ではこの丁張りに従って、施工班が作業を進めていくのですが、まごまごしているとその施工班を待たせることになりますので、早く・正確に丁張りをかけていく必要があります。
とは言っても、高校を出たばかりの社会人一年目… 間違ったらいけない、早くしなくちゃいけないと常に緊張した状態で、プレッシャーに押しつぶされそうになりながらも頑張ってやっていたのですが、その短気なA木さんから「なんしよっきゃー 早よーせろ!」「いつまでかかいよっきゃー!」といつもこっぴどく怒鳴られてばかりいました。
他のY田組の施工班のみなさんは「島くん 急がんでよかけんねー」と、本当に優しくて気のいい人ばかりだったのですが…
そんな感じで、毎朝現場に行くのが憂鬱になるほど気分的に憔悴していたのですが、正直冷静に落ち着いてやれば問題なくできることも、近くで大きな声で喚き散らしながら罵倒され続けたら、冷静さも欠くし、余計に混乱して間違ったりもするもんです。
そしてある日、A木さんとレベルを使って測量している時に、私がレベルを見て、A木さんがスタッフという目盛りが書かれた箱尺を持って、その数値を見ている時にやや距離があったので、私が検測に時間がかかっている時と… 「まだかぁー?まだなのかぁーっ?」とA木さんイライラ
しかもイライラし過ぎて、A木さんの手元が震え、それに合わせてスタッフも揺れているから、見辛くて余計に検測し難いんですよねー
ついにはブチ切れて、手に持っていた野帳という測量用の手帳を地面にズバンと叩きつけて「遅ーい!なんばしよっとか!お前帰れーっ!」と怒られてしまいました。
もうこの時ばかりはトラウマ寸前でした。
それから2年ほど経過し、また別の現場でY田組と仕事をする機会になりまして、私自身もそれなりの経験と自信をつけて、A木さんと再会するつもりでした。
内心、「A木… 今度は逆にこき使うたる!」と…
「やられたら、やり返す、倍返しだ!」というほどではありませんでしたが、今度はA木さんが私について来れないくらいのスピードと正確さで翻弄してやろうと意気込んでいたのですが、なんとA木さんはもうY田組を辞めて居なくなったとのこと… 何だかすっかり拍子抜けしたことを思い出しました。
今となっては笑い話になりますが、当時は本当に仕事を辞めたくなるほどに嫌でした。ただ「仕事を覚えて、いつかA木さんを見返してやる!」というなにクソ根性は結局のところ自分にとってはプラスにしかなっていないので、そのA木さんの存在というのが、当時の自分にとって発奮材料となっているのは確かなので、今考えたら感謝しかないかもしれません。
でも… やっぱり当時はA木さんがキライでした。(笑)
今はなかなか「やられる」ということはほとんどありませんが、お客さんや職人さん・取引先さんなどから「施される」ということはあると思います。
「施されたら」それを決して忘れることなく、まだ別の機会に「施し返します」受けた恩というのは例え気持ちだけであっても、きちんとした礼儀でもって返せる人間でありたいと思います。
それが…「恩返しです。」かな…
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