洋館潜入 そして・・・ 〔中篇´〕
エスケープ
話は少し進み 一週間後
あの洋館に潜入してから 一週間ほど経過したある日
個人で惣菜店を営む母親からお店で余ったおかずを親戚のおばのところまで届けるように言われたので自転車で行くことにした。いつもならブツブツ言うのだが、このおばは行く度にちょっとしたお小遣いをくれるので二つ返事でOKした。それともうひとつ このおばの家からあの洋館まで数百メートルくらいのところなので明るい時間帯にもう一度行ってみたかったというのもあったからである。
おばのところへ行き 用事を済ませてから自転車であの洋館へと向かった。
敷地内に入ってみたが明るいというのもあり怖くもなんともない。そして玄関ドアがあるところへ向かうとなんだか妙におかしくなってきた。「なんであの時はこのドア如きであんなに怖がったんだろうか」 確かにその場の雰囲気というのもあったのだろうか?今はもう怖くも何ともないし 何も問題もない。
「さー 帰っか!」 と一歩 踏み出したときに何かにつまづいた。「なんだよ も~」
子犬の死体だった。
その場から逃げるように全速力で自転車を走らせた。
ふたつの悪意
爆音と砂埃を同時に巻き上げながらヘリコプターは校庭に着陸した。
校内放送が流れる
「循誘小学校に強盗が侵入したらしいですので、捜査の関係で警察の方がヘリコプターで来られました。ここでは何も問題はありませんので騒がないようにして下さい。」というような内容のものだった。
この時のヘリコプター自体の記憶は鮮明だが、この事件についての記憶は残念ながらあまりない。循誘小学校とは私の母校であり、この中学校(城東中学校)から西へ1kmもないところに位置する小学校である。
なぜ警察はこんな離れたところにヘリを着陸させたのか?なぜヘリを使う必要があったかは知る由もないが、とにかく事件は循誘小学校で起きたのであった。
事件の内容は白昼堂々と刃物を持った男が事務室に押し入り、金品を要求したとのこと。その時に用務員のおじさん(O川さん / まだ名前を覚えてた!)を刺して逃げたというものだった。犯人はその後、体育館の南側の墓地の中を通って逃走したらしいのだが(墓地内を逃走している様子の映像が夕方のTVニュースで流れていた。)後に犯人は捕まったらしいということだった。
中学校では校内放送で騒ぐなとはいっても突然のヘリコプターの着陸に校内は騒然としていた。(と思う。)校門の外も野次馬がたくさん集まってきている。
私もヘリコプターを近くで見てみようと教室から出て校庭へ向かおうとしたが、校門の外にいる野次馬の中のひとりになんだか見覚えのある人がいた。
あの時 洋館の外にいたおばちゃん。
子猫を抱いていた
結論
あの洋館で子犬の死体を発見した翌日
そのことを他の2人に伝えた。そして もう一度3人であの洋館へ行ってみようということになり、夕方まだ暗くなる前に行ってみることにした。
案の定、子犬の上に折り重なるようにして子猫が死んでいた。
学校へ戻り、3人で話し合った結果 『あの洋館で見た猫〔巻き戻された猫〕というのは殺された猫の亡霊であり、昨日見た子犬と今日見た子猫の死体はおばちゃんが抱いていた犬と猫だろう。つまりあのおばちゃんは危険極まりないサイコなババァの妖怪』 と結論付けた。もちろん真性のバカ三人衆のならではの結論なのであった。
一番ヘタれなやつが言った 「俺たちは大丈夫やろうか?」
「大丈夫に決まっとるやん!」
「だってさ・・・」
「だってもクソもないやんけ!何かされる理由がないやん!あのおばちゃんが犬とかを殺すところを見た訳じゃないやろ?」
「そりゃそーだけど、あの場所〔洋館で〕で居合わせたやん!」
「それでも何かされたとしても俺たちが体格的に上だし、走って逃げたら追い越せるはずないやん。しかも俺たち陸上部ばい!」
「お前らは二人とも陸上部だけど俺は足遅いし、力もないから・・・」
「でも いくらお前でも普通のおばちゃんには負けんやろ?」
「まぁ そうかもしれないけど・・・」 と彼は力なく答えた。
翌日、彼は学校に来なかった。
ラストエスケープ Ⅰ
とうとう彼は今日一日学校へ来ることがなかった。
担任に聞くと何も連絡がなかったらしく、自宅へ電話をかけても誰も出ないということだった。
私も部活が終わって帰宅してからその友人宅へ何度か電話をしてみた。
やはり誰も出ない
「おかしいな・・・ ま いっか!」
明日は普通に登校してくるだろうと思い、ほとんど気にとめていなかった。それよりか今日は部活の練習がハードだったというのもあり とにかく喉が渇いていた。
ジュースかなにかを飲もうと二階の自分の部屋から一階の台所まで行き、そして冷蔵庫を開けた。キッチンでは母親が夕食の支度をしている。冷蔵庫の中には飲むものが何もなかったので、仕方なく近所の酒屋さんのところにある自販機までコーラを買いに出かけた。
数分後、自分の部屋へ戻ると少しだけ開いた戸から光が洩れていた。「ん?」 戸を開けると母親が背を向けて何やら私の机の中をまさぐっていた。机の上には包丁がある。
どうやら私が居ない間に部屋の中のどこかへ隠したと思われるエロ本を探し出そうとしていたらしい。これまでも何度か発見されたが・・・ しかし食事の支度中にしかも包丁まで持ってこなくてもいいとは思うが・・・
「ちょっとぉ~ 勝手に人の部屋に入るなって何回行ったら分かるん・・・」
振り向いたのは母親ではなかった。
そこにいたのはあの時 子犬を抱いていたおばちゃんだった。
to be continued
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コメント
な・な・なんじゃコリャー!
投稿: フリテン | 2007年10月25日 (木) 午前 10時06分
なんか想像以上にとんでもない展開なんですけど…。
次ぎもまた24時間以内にヨロ…。
投稿: ひとぴん | 2007年10月25日 (木) 午後 01時03分
フリテンさん、ひとぴんさん コメントは毎度どうもです!
今日お会いした何名かのお客様からもこの話題に触れていただきまして嬉しいやら恥ずかしいやらで・・・
「最後はいつものパターンになるんですか?」
「スミマセン 私も分かりまへん・・・」
投稿: 島 工房長 | 2007年10月25日 (木) 午後 04時44分
はい・・
固唾を飲んで見守っています・・・
しかし尻上がりにめちゃ面白くなっています(*^o^*)
投稿: Hiroyuki | 2007年10月25日 (木) 午後 09時23分
Hiroyukiさん お疲れ様です!
それとコメントありがとうございました。
>しかし尻上がりにめちゃ面白くなっています(*^o^*)
ありがとうございま~す!
う~ 〔後篇〕は明日UPする予定です。
今回は時間がありませんでしたので・・・
尻上がりが尻下がりにならないようにがんばりまーす!(笑)
投稿: 島 工房長 | 2007年10月26日 (金) 午前 08時28分